アトリエスワン

(✨作家 白鳥静香先生読書会✨)

小さきものに限りない愛を 17 ~眺望


小さきものに限りない愛を 17 ~眺望

白鳥静香著

 

 

 

・私たちは高いところにのぼって景色を眺めることを好みます。

 

 

高層ビルや小高い丘の上から街を眺めるのが嫌いだという人はいないでしょう。

 

 

街のなかを歩いているときは、

ただのゴミゴミした街だと思ってはいても、

 


街のなかで生活しているときは、

必ずしもそこが平和でないことを、

悩みがあり、

苦しみがあり、

人と人とがいがみ合ったりしているのを充分知ってはいたとしても、

 

それでも、私たちは高いところにのぼって遠くの街を眺めると、

街をとても美しく、

とても平和で、

とても懐かしく感じるのです。

 

 

そこには、下から見たときにはなかったひとつの大きな調和があるのです。

 

 


下から見たときにはバラバラの不調和でしかなかったものが、

高いところから眺めている私たちのまなざしのなかで

ひとつの大きな調和に、

ひとつの大きな美になっているのです。

 

 

 

 

 


世界には大きな不調和があります。


憎しみがあり、

怒りがあり、

悲しみ、苦しみがあり、

争いがあります。


病気もあれば、死もあるのです。

 


それは人間に限らず、すべての生き物に共通している現実です。

すべての生き物は不調和をつくり、罪をつくっているのです。

 

 

 

 

でも、ひょっとすると星々をも越えたところには、

もっと、どのような大きな不調和も包んで

ひとつの調和にしてくれる、ひとつの美にしてくれる、

大いなるまなざしがあるのかもしれません。

 

 

 

夜空のもとで、ひとり星々のまたたきに心をはせていると、そのように
思えてくるのです。